東京文化会館小ホール

菊池洋子は、2002年第8回モーツァルト国際コンクールにおいて日本人として初めて優勝、一躍注目を集めた。その後、ザルツブルク音楽祭に出演するなど国内外で活発に活動を展開し、いまや実力･人気ともに日本を代表するピアニストの一人である。

前橋市生まれ。1993年、桐朋学園女子高等学校音楽科入学。故田中希代子、故林秀光の各氏に師事。
卒業後、イタリアのイモラ音楽院に留学、フランコ･スカラ、アントニオ･バッリスタ、フォルテピアノをステファノ･フィウッツィに師事。

97年、ミラノにおいてソロ･リサイタルを行う。同年ユベール･スダーン指揮、シチリア交響楽団のコンサートツアーのソリストに抜擢され、ラフマニノフの ピアノ協奏曲第3番を3夜連続コンサートで演奏し、イタリアの新聞紙上で絶賛された。2002年1月、ザルツブルクで行われた第8回モーツァルト国際コン クールにおいて日本人として初めて優勝し、一躍注目を浴びる。
03年には夏のザルツブルク音楽祭のモーツァルト･マチネに出演、アイヴァー･ボルトン指揮／ザルツブルク･モーツァルテウム管弦楽団と共演し大成功をお さめた。04年秋にはライプツィヒ弦楽四重奏団と日本ツアーを行ない、06年は、ウィーンでのリサイタル、ラ･フォル･ジュルネ音楽祭（東京）への参加、 オーケストラ･アンサンブル金沢のアジア･ツアーのソリスト、アフラートゥス･クインテットとの共演及びレコーディング、11月から12月にかけては、サ ントリーホール（東京）、ザ･シンフォニーホール（大阪）、札幌コンサートホールKitaraなど、全国6都市の各主要コンサートホール大ホールにてリサ イタルを行うなど大きな話題を集めた。
その後も、08年アンサンブル･ウィーン=ベルリンメンバーとの共演、09年にモーツァルトのピアノ･ソナタ全曲をフォルテピアノとモダンピアノを用いて演奏するといった意欲的な企画に取り組み好評を得た。
また、同年6月にはヴァシリス･クリストプロス指揮のもと、南西ドイツ･フィルと共演し、ブラームスのピアノ協奏曲第１番を演奏。11年には、シュレスヴィヒ=ホルシュタイン音楽祭やパレルモ音楽祭への参加などで絶賛を博した。

これまでに、国内主要オーケストラとの共演をはじめ、ルーマニア･フィル、ニューヨーク･ヴィルトゥオージ室内楽団、スロベニア放送響、ザルツブルク･ モーツァルテウム･ユニバーシティ響、ザルツブルク室内管、フランツ･リスト室内管、上海交響楽団、香港シンフォニエッタ等と共演、また、リサイタルや室 内楽など着実に活動の場を広げている。

CD録音も活発に行い、05年「モーツァルト･アルバム」（エイベックス）でデビューし、第18回ミュージック･ペンクラブ音楽賞クラシック部門録音･録 画作品 （日本人アーティスト）賞を受賞。06年9月には、アフラートゥス･クインテットと共演したモーツァルトとR. シュトラウスのCD（オクタヴィア）を、11月には「モーツァルト･アルバム第２弾」（エイベックス）がリリースされた。09年１月には「モーツァルト： ピアノ･ソナタ集」をリリース（エイベックス）。11年には、ホルンの世界的名手ラデク･バボラークと共演したアルバムを2枚リリース(オクタヴィア)し 好評を博している。

第1回上毛芸術文化賞（音楽部門）受賞。2007年第１７回出光音楽賞受賞。

　前半の2曲には後期の作品である対極的な2曲を選びました。6つのドイツ舞曲K509は プラハ滞在中、舞踏会のためにささっと１時間で書きあげたもの、その１年後のソナタK533はその反対に2年前に書いたロンドを３楽章として1，2楽章に 付け足し借金返済のために完成させました。1，2楽章の和声の動きはモーツアルトの苦悩の叫びのように感じ、非常に内面的で彼自身の言葉のように一つ一つ の音符が語りかけてきます。

　後半のソナタニ長調の2楽章はピアノソナタの中で最も好きな2楽章です。幻想曲とソナタは作曲した年も全然違い接点はないですがニ短調からニ長調の移り変わる雰囲気を大切に曲間を続けて演奏させていただきます。

菊池洋子

アヴェ･ヴェルム･コルプス(リスト編) K618

ピアノソナタ イ長調 K331　第2、第3楽章(トルコ行進曲付き)