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2016年第577回例会(2016/3/7)

演奏会概要

  • 時 間

    2016年03月07日(月) 18:15開場/18:45開演
  • 会 場

    東京文化会館小ホール
  • 例会チケット

    前売券・当日券(臨時会員券):6,000円(学生2,000円)
    ※前売券:予定枚数終了
    ※当日券:17時45分から小ホール窓口で販売

ミシェル・ダルベルト(ピアノ・指揮)
東京フィルハーモニー交響楽団

PROGRAMM:

《ピアノ協奏曲の輝き》

▶ ロンド イ短調 K511
Rondo in a K511
▶ ピアノ協奏曲 第20番 ニ短調 K466
Konzert in d K466
(カデンツァ:第1楽章 アルフレッド・ブレンデル、第3楽章 エドウィン・フィッシャー)

▶ ロンド ニ長調 K382
Rondo in D K382
▶ ピアノ協奏曲 第21番 ハ長調 K467
Konzert in C K467
(カデンツァ:ディヌ・リパッティ)

ミシェル・ダルベルト(ピアノ・指揮)

ミシェル・ダルベルトが最初に注目を浴びたのは、1975年のクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールで優勝し、現代で最も優秀なピアニストの1人として認 められた時である。3年後、リーズ国際ピアノ・コンクールで優勝し、また、最初の録音であるシューベルトの2つのソナタがアカデミー・シャルル・クロ・グ ランプリを受賞したことで、同年代のピアニストの中でも特に際立った存在として、とりわけその優れた演奏テクニックで、一躍注目を集めた。

 パリ生まれ。3歳半でピアノを始め、12歳の時にアルフレッド・コルトーの愛弟子ヴラド・ペルルミュテールに紹介され、1968年パリ国立高等音楽院のペルルミュテールのクラスに入学、9年後卒業。

 これまでに、エーリヒ・ラインスドルフ/パリ管弦楽団、サー・コリン・デイヴィス/ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、 ヴォルフガング・サヴァリッシュ/スイス・ロマンド管弦楽団、クルト・マズア、レナード・スラトキン/フランス国立管弦楽団、エリアフ・インバル/ウィー ン交響楽団、(旧)ケルン放送交響楽団、アンドリュー・デイヴィス/ロンドン・フィル、シャルル・デュトワ/モントリオール交響楽団、マンフレッド・ホー ネック/オスロ・フィル、ユーリ・テミルカーノフ/ローマ・サンタ・チェチーリア国立管弦楽団のほか、マレク・ヤノフスキ、ギュンター・ヘルビッヒ、ネー メ・ヤルヴィ、ジョゼフ・スヴェンセン、フランツ=ポール・デッカー、ハンス・フォンク、ドミトリ・シトコヴェツキー、ジョン・ネルソン、ぺトル・アルト リヒテル、ルドルフ・バルシャイ等の指揮者と共演。またルツェルン、モントルー、エディンバラ、ウィーン、エクサン・プロヴァンス、シュレスヴィヒ=ホル シュタイン、モントリオール、シアトルなどの音楽祭に客演している。

 デビュー当時より、シューベルト、モーツァルトの解釈には定評があり、その他リスト、ドビュッシー、フォーレ、ラヴェルの演 奏も、高く評価されている。レコーディングにも非常に積極的であり、中でも、DENONからリリースした「シューベルト:ピアノ作品全集(14枚組)」は 特筆に値する。他にも、グリーグのピアノ協奏曲やシュトラウスの「ブルレスケ」をポミエ指揮フィルハーモニア管と、シューマンのピアノ協奏曲のライブ演奏 をウィーン音楽祭でインバル指揮と、また、バーバラ・ヘンドリックスとのフォーレの歌曲集や、ジェシー・ノーマンとのショーソンの歌曲集などがある。現在 はBMGに幅広いレパートリーを録音しており、最初のドビュッシーの前奏曲集は「ル・モンド・ドゥ・ラ・ミュジーク」誌で特選盤に選ばれ、またジョン・ネ ルソン指揮パリ室内管弦楽団とモーツァルトのコンチェルト第20番、第22番も録音している。2004年リリースの「リゴレット-リスト編曲~ヴェル ディ、ワーグナー/トランスクリプション」は、グラモフォン、ディアパソン、クラシックFMなど各誌で絶賛され、売行きも同夏のトップを記録した。 2008年には、新進チェロ奏者アンリ・ドマルケットとブラームスのソナタ集を録音。最近では、スイスの出版社La Doganaより、バリトンのシュテファン・ゲンツとシューベルトの「冬の旅」をリリース。また、ヴォーグ・レーベルより「プレイズ・リスト、スクリャー ビン」をリリースしたほか、ルノー・カプソン、エベーヌ・カルテット他と録音したフォーレの室内楽全集の5枚組CDが発売され、好評を博す。

 ソリストとしての他に、ダルベルトは室内楽奏者としても際立った存在である。ヘンリク・シェリングとベートーヴェンのソナタ 全曲演奏会、ニキタ・マガロフと2台ピアノ演奏会を行なったほか、ボリス・ベルキン、ドミトリ・シトコヴェツキー、リン・ハレル、トルルス・モルク、ル ノー・カプソン、ゴーティエ・カプソン、ニコライ・ズナイダー、ユーリ・バシュメット、アンリ・ドマルケット等と共演している。

 1991年から2009年までクララ・ハスキル国際ピアノ・コンクールの審査委員長を務め、現在は理事。また、2011年からはパリ国立高等音楽院で教 鞭をとり、教授として後進の指導にあたっている。日本では、NHK交響楽団、東京都交響楽団、読売日本交響楽団、東京交響楽団、日本フィルハーモニー交響 楽団と共演し、絶賛を博す。また、2006年放映のNHKテレビ「スーパーピアノレッスン」では講師を務め、エスプリに富んだ演奏を披露した(2008年 4月~7月、NHK再放送)。また、1996年にフランス政府から国家功労勲章を授与されている。

出演者のメッセージ

親愛なる皆様

 オール・モーツァルトのプログラムを、ピアノのソロと協奏曲、そして指揮で演奏するのは、私にとって本当に特別なコンサートとなるでしょう。
 選曲した2つのピアノ協奏曲は、昼と夜、月と太陽のように、互いに全く性質の異なるものです。暗く悲劇的な雰囲気のニ短調に対し、ハ長調の作品は幸福や歓喜の完璧なる象徴であり、これらは強いコントラストを成しています。2曲のロンドも同様に、それぞれ性質を異にしています。
 私の考えでは、ベートーヴェンは男女の枠を超えて人類全体に語りかける作曲家であり、シューベルトは人間の奥深くを表現することを試みました。そしてモーツァルトは、日常を表現した音楽家であり、それは彼のオペラや協奏曲を含むあらゆる作品からも見て取れます。
 今宵のコンサートが感動を呼び、驚きや喜びに満ちあふれたものとなることを願っています。そして、この時を皆様と共有できることを楽しみにしています。

ミシェル・ダルベルト

東京フィルハーモニー交響楽団

1911年創立の日本で最も長い歴史と伝統を誇るオーケストラ。約140名のメンバーをもち、シンフォニーオーケストラと劇場オーケストラの両機能を併せもつ。 2015年4月より、ミハイル・プレトニョフを特別客演指揮者に、アンドレア・バッティストーニを首席客演指揮者に迎えた。桂冠名誉指揮者にチョン・ミョ ンフン、桂冠指揮者に尾高忠明、大野和士、ダン・エッティンガーを、レジデント・コンダクターに渡邊一正、アソシエイト・コンダクターにチョン・ミンらを擁する。

「定期演奏会」をはじめ「午後のコンサート」や「こども音・楽・館」などクラシック音楽を広く普及させる自主公演の他、新国立 劇場のレギュラーオーケストラとしてオペラ・バレエ演奏、NHKにおける『ニューイヤー・オペラコンサート』『FMシンフォニーコンサート』『名曲アルバ ム』、さらに『題名のない音楽会』『東急ジルベスターコンサート』などにより全国の音楽ファンに親しまれる存在として、高水準の演奏活動とさまざまな教育的活動を展開している。

海外公演もこれまで数多く行い、近年では2005年11月のチョン・ミョンフン指揮による「日中韓未来へのフレンドシップツアー」に続き、2013年12月に韓国・大邱市の招聘により日本から唯一アジア・オーケストラ・フェスティバルに出演、2014年3月にはアジア・欧米6か国を巡るワールド・ツアーを行い国内外の注目を集めた。

1989年からBunkamuraオーチャードホールとフランチャイズ契約を結んでいる。また東京都文京区、千葉県千葉市、長野県軽井沢町、新潟県長岡市と事業提携を結び、各地域との教育的、創造的な文化交流を行っている。

昭和62年度芸術祭賞、平成7年度芸術祭大賞、平成16年度芸術祭優秀賞、また「音楽の未来遺産」三善晃管弦楽作品シリーズ3 公演のライヴCD(カメラータ・トウキョウ/平成20年10月)が平成20年度芸術祭優秀賞を受賞した。他に、昭和59年度に第8回音楽之友社賞と第8回ゆとりすと賞(味の素社)、平成13年度ミュージック・ペンクラブ賞(クラシック部門/日本人アーティスト)などを受賞している。

公式ウェブサイト http://www.tpo.or.jp/
公式フェイスブック https://www.facebook.com/TokyoPhilharmonic
公式ツイッター https://twitter.com/tpo1911

アンコール

ピアノ協奏曲 第18番 変ロ長調 K456より第2楽章

3 月例会の感想

K119 中村英夫

ピリオド楽器による演奏ばかりを楽しんでいる私にとって、久しぶりに聴くモダーン楽器によるピアノ協奏曲ということで、期待半分不安半分でコンサートに臨みましたが、期待をはるかに上回る素晴らしい演奏会に大満足でした。
ニ短調の協奏曲(K466)は、ハ短調(K491)の作品に比べて魅力が劣るという先入観があり進んで聴くことが少なかった作品でしたが、そんな偏見を完全に払拭し、この曲の良さをあらためて認識させられた、ピアノ、指揮、オケのすべてにおいて名演だったと思います。
第2楽章の静と動、弛緩と緊張のコントラスト、Romanceの余韻から醒めぬうちに間髪を入れず激しいニ短調のフィナーレへなだれ込み、最後は輝かしいニ⻑調の壮大な響きで締めくくるという曲の構成を見事に描いた熱演でした。もしこれがモーツァルトの意図した姿であったとすれば、当時のホルン奏者にはたいへん酷なことだったでしょう。なにしろ、前楽章の最後まで吹き終え、アレグロ・アッサイのわずか23 小節の沈黙の間に、クルークをB♭アルト管からD 管に差替えて吹奏態勢を整えねばならず、もたつけば出トチリ、そんなことを思うと現代楽器による演奏にも一利あるなと妙に納得しました。
ハ⻑調K467も典雅な古典的様式にふさわしいよい演奏でした。シンフォニックな構成美を見せる第1 楽章、情緒に耽ることなく気品に満ちたAndanteとエネルギッシュなフィナーレといった各楽章の特徴をよく描き分けていました。
オケでは、4-3-2-2-1 の弦群とブラスセクションを左右に分けて並べるというピリオド楽器オーケストラでよくみられる配置・編成数をとっていましたが、それにより音響バランスがよく、各奏者の優れた力量が聴き取れ、さらにソロピアノが弦の伴奏に乗って歌い、木管群と応答し合うといったそれぞれのシーンが聴覚的にも視覚的にも楽しめモーツァルトの曲作りがよく理解できるものでした。
カデンツァは、2 曲とも作曲者が残したものがないのでダルベルト氏がどうするか注目していました。K466ではもっともよく弾かれるベートーベンのものを排してブレンデル/フィッシャーによるものを使ったことについて評価が分かれるかもしれませんが、K467のリパッティのものはモーツァルトの曲想にたいへんよくマッチしていたと思います。
春の日の一夕、高級なフルコースディナーを頂いたような例会に感謝です。

注意事項

※ 出演者・プログラムは変更することがございます。予めご了承ください。
※ 例会の臨時会員券(前売券・当日券)は当日会場窓口にて、また、東京文化会館チケットサービス03-5685-0650にて販売。
※ 10歳以下の方の入場はご遠慮下さい。
※ 会場での無断撮影、録音は固くお断りします。