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2024年第659回例会(2024/5/20)

演奏会概要

  • 時 間

    2024年05月20日(月) 18:15開場/18:45開演
  • 会 場

    東京文化会館小ホール
  • 例会チケット

    前売券:全自由席 5,000円
    (学生2,000円)
    ※販売中

フランソワ・デュモン François Dumont(ピアノ)

PROGRAMM

《俊英デュモンのエスプリ》

▶ピアノ・ソナタ ハ長調 K330
 Klaviersonate in C K330
▶ピアノ・ソナタ イ短調 K310
 Klaviersonate in a K310
▶幻想曲 ニ短調 K397
 Fantasie in d K397
▶ピアノ・ソナタ イ長調 K331「トルコ行進曲付き」
 Klaviersonate in A K331

出演者からのメッセージ

 私はモーツァルトの音楽は人類への最高の贈り物のひとつだと考えています。彼はその短い生涯の中で、室内楽、オペラ、独奏曲から協奏曲に至るまで、様々な形式を受け入れ、最も自然な方法でそれぞれのジャンルに自分の語法を適応させながら発展させていきました。その音楽は完全な均衡を保ちつつ、その明快さ、豊かさ、純粋さで、私たち一人一人に語りかけてくれます。また、その楽風はユニークです。明瞭さ、コントラスト、感受性、チャームは数ある彼のピアノ作品に共通の特質と言えるでしょう。

  今回のリサイタルで演奏する3つのピアノ・ソナタからは、驚くほど多様なスタイルと感情を聴きとることができます。

 K310イ短調のソナタは、2曲しかない短調の一つで最もドラマチックな作品です。これは彼が母親を失った1778年にパリへの旅行中に書かれました。情熱的で劇的な作風、鮮明なコントラスト、まさに”Sturm und Drang “的なキャラクターを、青年モーツァルトの心の苦悩や疑問と関連づけるのは自然なことだと思います。

 K331、K332とともに1784年の夏に出版されたソナタK330は、K310とは対象的に均衡、形式美、インスピレーションの清冽さの奇跡といえます。表面上の単純さの裏に隠されているのは、微妙な和声変化を伴う多くの細部の洗練です。最も切ない瞬間は長調から短調に移る緩徐楽章の中間部で、この瞑想的なパートは、左手の反復音によって、非常に表情豊かでありながら同時に内省的でもあります。

 K331の第1楽章で素晴らしいのは、南ドイツの民謡 “Rechte Lebensart “の変奏曲です。第2楽章メヌエットの中間部分では、グルックのオペラ「オルフェオとエウリディーチェ」の「精霊の踊り」のテーマを用い、終楽章のフィナーレの有名なロンド “Alla turca “(トルコ風に) にもグルックのオペラ「メッカの巡礼、または思いがけないめぐり合い」の序曲が引用されています。この楽章は彼のオペラ「後宮からの逃走」と同様、ウィーンでトルコ軍楽が大流行していた時代の彼のユーモアと機知を示しており、エキサイティングなフィナーレに至るまで、打楽器や小さなフルート、金管楽器の響きの再現が追及されています。また、興味深いことに、近年このソナタの欠落部が再発見され、通常の版とは異なる多くの詳細が明らかになりました。

 ニ短調の幻想曲K397は1782年に書かれ、彼の死後1804年に「Fantasy of Introduction」というタイトルで初めて出版されましたが、実は未完成で最後の10小節は彼の作曲ではありません。また、この曲はソナタへの自由な序奏曲として作られたものだと考えられています。ウィーンに戻ったモーツァルトは、友人であるファン・スヴィーテン男爵の図書館でバッハ作品の研究をしていました。そのバッハ作品からの影響の片鱗が序奏のアルペジオに顕われています。この幻想曲のカデンツァのような自由なパッセージや転調するエピソードは、彼の即興演奏がどのようなものだったのかを知るための貴重な証拠といえるでしょう。

 21世紀の今日、ピアニストとしてオール・モーツァルトのプログラムでリサイタルを行うことはとても貴重な機会です。しかしながら同時に、この神聖で傑出した人類への遺産ともいうべき、モーツァルト作品を解釈する者として、そのやりがいと共に大きな責任も感じています。

 フランソワ・デュモン

フランソワ・デュモン(ピアノ)

 1985年フランス、リヨン生まれ。14歳でパリ国立高等音楽学校に入学、ブルーノ・リグット氏に師事。イタリア・コモ湖国際ピアノアカデミーやルガーノ音楽院でも研鑽を積む。

 エリザベート王妃国際音楽コンクール、ショパン国際ピアノコンクール(5位)、クリーヴランド国際コンクール(3位およびショパン賞とフランス賞を受賞)、クララ・ハスキル国際ピアノコンクール(スイス)、浜松国際ピアノコンクール、モンテカルロ・ピアノマスターズ等数々の国際コンクールで上位入賞。

 これまでに、シャトレ座、サル・ガヴォー、サル・プレイエル、サル・コルトー、オルセー美術館、リヨン・オーディトリアム、ウィーン楽友協会、ラ・ロック・ダンテロン国際ピアノ音楽祭、モンペリエ・ラジオ・フランス音楽祭、ジャコバン・ピアノ音楽祭(トゥールーズ)、ショパン音楽祭(パリ、ジュネーヴ)、ノアン・ショパン音楽祭、ラ・フォル・ジュルネ(ナント)、ショパンと彼のヨーロッパ国際音楽祭(ワルシャワ)、ブザンソン音楽祭、ケネディーセンター(ワシントン)他で演奏するとともに、フランス国内のラジオやテレビにも定期的に出演。

 マリインスキー劇場管、ブルターニュ管他、国内外のオーケストラとの共演も数多い。2015年6月、レナード・スラットキン(指揮)フランス国立リヨン管弦楽団とラヴェルの2つのピアノ協奏曲を演奏し、NAXOSよりライブ録音として発表。2019年2月フランス最古のオーケストラであるコンセール・パドルーとフィルハーモニー・ド・パリにてデビューを果たした。

 室内楽ではトリオ・エレジアックのメンバーとしての活動の他、庄司紗矢香(Vn)、オーギュスタン・デュメイ(Vn)、タベア・ツィンマーマン(Va)、プラジャーク四重奏団 、シネ・ノミネ四重奏団などと共演している。

 録音も数多く、モーツァルト・ソナタ全集(Anima Records)はPianiste誌より“芸術家賞”を、ラヴェル・ピアノ独奏曲全集(Piano Classics)は、テレラマ誌でフォルテッシモ賞、ディアパソン誌にて5つ星を獲得する。また、ショパンはもちろん、ワーグナー=リスト、JS.バッハ、ムソルグスキーの作品も録音している。トリオ・エレジアックとして発表する録音はいずれもディアパソン誌で5つ星を獲得するなど、高い評価を得ている。

オフィシャルHP:https://www.francoisdumont.com/

チケット取り扱い

東京文化会館チケットサービス 03-5685-0650
日本モーツァルト協会 03-5467-0626(平日)

※学生券は日本モーツァルト協会のみ取り扱い

注意事項

※ マスクの着用は個人のご判断に委ねます。
※ フラボー等の声援をされる際は、マスクの着用をお願いいたします。
※ 感染予防のため、手洗いや指先のアルコール消毒にご協力ください。

※ やむを得ない事情により出演者・プログラムを変更する場合がございます。ご了承ください。
※ 10歳未満の方の入場はご遠慮ください。
※ 会場での無断撮影、録音は固くお断りいたします。