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【CD】モーツァルト+(プラス)

モーツァルト+(プラス)

ペレチャッコ初のモーツァルト・アルバム
モーツァルトと同時代の作曲家のオペラ・アリア集

 2017年新国立劇場における劇的な「ランメルモールのルチア」や、2018年秋のパーヴォ・ヤルヴィ/N響との共演での「カルミナ・ブラーナ」での可憐な歌唱など、日本の音楽ファンにもその実力を余すところなく披露してきたオルガ・ペレチャッコ。

 ソニー・クラシカルからの5枚目のアルバムとなる最新盤は、「モーツァルト+(プラス)」と題され、モーツァルトとその同時代の作曲家のオペラ・アリアを収録。

 モーツァルトの最も人気の高い4大オペラのアリアと、現在では上演されることが稀なパイジェッロとソレル、トンマーゾのアリアを組み合わせ、18世紀後半のヨーロッパのオペラにおける音楽的な交流の模様を描き出すというエキサイティングな趣向です。

 このアルバムの最初に出てくる作曲家トンマーゾ・トラエッタ(1727-1779)は、ニコラ・ポルポラに弟子入りし、1751年にナポリで上演された歌劇「ファルナーチェ」で最初の成功を収めました。パルマの宮廷音楽家の地位についたのですが、当時のパルマは、フランス・ヴェルサイユ風のラモーの作品が熱狂的に受け入れられていたため苦戦を強いられました。しかし重要な協力者を得ながらイタリア、フランス、ドイツの要素が合わさった作風によるオペラ・セリアを中心に書き、トラエッタ後期の1772年に作曲した「アンティゴーネ」は、当時の最先端の作風による革新的だったものです。トラエッタ死後オペラ・セリアは芸術的、財政的問題など様々な理由から消滅の危機に瀕することとなったのですが、モーツァルトがそれを復活させています。

 続くモーツァルトの2つのアリアは、次のトラックに出てくるバレンシアの作曲家、そしてモーツァルトのライバルであったビセンテ・マルティーン・イ・ソレル(1754-1806)の歌劇『お人好しな気むずかし屋』の挿入曲(上演のための代替曲)として作曲されたもの。ペレチャッコは、モーツァルトのオペラ・アリアもテクニックと魅惑的な情緒を加え、その驚異的なコロラトゥーラと、強靭な声、情熱的な語り口で歌い上げています。

 バックは、2016/17年シーズンからスイスの名門バーゼル交響楽団の首席指揮者をつとめているアイヴォー・ボルトン。近年ではピリオド奏法を取り入れた軽やかで透明感ある響きが特徴的なブルックナーの交響曲を演奏し、従来のような重厚な響きを重んじる聴き手の耳にも新鮮な風を送り込んだのも話題となりましたが、古楽から現代まで幅広いレパートリーを持ち、オペラでもオーケストラ曲でも高いクオリティの演奏を聴かせるボルトンだけあって、ピリオド楽器演奏の成果を採り入れて、テンポの良さと明晰さで引き締まった演奏で、ペレチャッコの歌唱を支えています。

『オルガ・ペレチャッコ/モーツァルト+(プラス)』

【曲目】
 1.トンマーゾ・トラエッタ:歌劇『アンティゴーネ(アンティゴナ)』より
 「Ombra cara, amorosa」
 2.トンマーゾ・トラエッタ:歌劇『アンティゴーネ(アンティゴナ)』より
 「Io resto sempre a piangere」
 3.トンマーゾ・トラエッタ:歌劇『アンティゴーネ(アンティゴナ)』より
 「Finito è il mio tormento」
 4.モーツァルト:アリア『だれがわが恋人の苦しみを知ろう』K582 
 5.モーツァルト:アリア『私は行く、でもどこへ?』K583
 6.イ・ソレル:歌劇『お人好しな気むずかし屋』より
 「Infelice ad ogni istante」
 7.モーツァルト:歌劇『後宮からの誘拐』K384より
 「なんという悲しみが私の心を覆っていることでしょう」
 8.モーツァルト:歌劇『後宮からの誘拐』K384より
 「喜びは失われ、悲しみが私の運命となった」
 9.モーツァルト:歌劇『後宮からの誘拐』K384より
 「あらゆる拷問が」
10.パイジェッロ:歌劇「セビリャの理髪師」より
 「Giusto ciel, che conoscete」
11.モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』K492より
 「スザンナは来ないかしら」
12.モーツァルト:歌劇『フィガロの結婚』K492より
 「楽しい思い出はどこへ」
13.モーツァルト:歌劇『ドン・ジョヴァンニ』K527より
 「今こそ、おわかりでしょう」
14.モーツァルト:歌劇『ティトの慈悲』K621より
 「もはや、花の美しい鎖を」

 【演奏】
オルガ・ペレチャッコ(ソプラノ)
アイヴォー・ボルトン(指揮)
バーゼル交響楽団

 【録音】
2018年8月21-24日、スイス、ドルナハ、ゲーテアヌム
NUMBER : 1907591905-2
LABEL : SONY CLASSICAL

オルガ・ペレチャッコ

 1980年サンクトペテルブルク生まれ。幼い頃からマリインスキー劇場の児童合唱団に所属して研鑽を積み、2005年からはハンブルク州立歌劇場のメンバーとなり、2007年に「オペラリア」コンクールで第2位を受賞。その後ベルリン・ドイツ・オペラ、バイエルン州立歌劇場、シャンゼリゼ劇場に登場し喝采を浴びました。現在はベルリンを拠点に活躍。2013年にはザルツブルク音楽祭にデビュー、2014年にはスカラ座やメトロポリタン歌劇場にも出演など、世界が彼女の歌に魅了されている。レパートリーは驚くほど幅広く、ヘンデル、モーツァルトからワーグナー、R.シュトラウスまでをも含む。 

(以上、ソニー・ミュージック)

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