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【CD】ファンタジアズ ~C.P.E.バッハ、モーツァルト

ファンタジアズ ~C.P.E.バッハ、モーツァルト

緊迫した響き、危うい転調。
綱渡りのようなスリル感を伴う幻想+即興!
作曲家の研ぎ澄まされた創意にしびれる1枚

 C.P.E.バッハやモーツァルトのように、18世紀の作曲家は演奏家でもあり、聴衆のために鍵盤楽器で即興演奏を行う能力を持っていました。たとえば遠い調関係にある2曲を続けて演奏するときは、次なる調へ転調していくブリッジとしての即興演奏を曲間に挿入し、聴衆の耳を慣らします。これは自由な即興というよりもむしろ和声的・対位法的な創意工夫の場であり、目的の調へ大胆にして破綻なく進んでいくという高度な作曲技術の発露です(20世紀に入ってもリパッティなどがリサイタルでこの手の伝統的な即興をしていました)。これは「ファンタジア」「幻想曲」というジャンルそのものに共通する感覚で、鍵盤作品がこのジャンルの発展の中心になっていることもそれを裏付けます。

 このディスクは「幻想曲」を「即興」でつないで、様々な調を巡っていくという凝ったプログラム。どっちへ進むか分からない、危うい転調の響きをはらんだピリピリするような緊張感にしびれます。ほとんど聴く機会の無いモーツァルトのK番号なしの「転調する前奏曲」やK284aの「4つの前奏曲」は、ロバート・レヴィンの研究によると即興演奏ができない妹のナンネルにも即興の〈ふり〉ができるように書かれたもの。作品本来の使い方がなされたとても面白いアルバムと言えるでしょう。ぜひ最初から最後まで、うつりゆく響きを一続きにお楽しみください。

★メリザンド・マクナブネイ
アムステルダム音楽院でアスペレンやエガーにチェンバロ、通奏低音、フォルテピアノを学んだ。あらゆる時代の鍵盤楽器を弾きこなし、2015年ブルージュ国際古楽コンクールで第3位入賞。ソロ、室内楽、オーケストラと幅広い演奏活動を展開している。2019年にATMAレーベルよりソロ・デビューアルバム「インスピレーションズ ~ダングルベール、フォルクレ、ラモー」(ACD2-2780)を発表。今回のアルバムが2作目となる。

ファンタジアズ ~C.P.E.バッハ、モーツァルト

【曲目】

J.S.バッハ:半音階的幻想曲とフーガ ニ短調 BWV903
メリザンド・マクナブネイ:
C.P.E.バッハに基づくインプロヴィゼーション第1番
~音階と転調のエチュード(ニ長調からハ短調へ)
C.P.E.バッハ:幻想曲とフーガ ハ短調 Wq.119/7
メリザンド・マクナブネイ:
C.P.E.バッハに基づくインプロヴィゼーション第2番
~自由なファンタジーと転調(ハ短調から嬰ヘ短調へ)
C.P.E.バッハ:幻想曲 嬰へ短調 Wq.67
モーツァルト:ヘ長調からホ短調へ転調する前奏曲 K番号なし
(マクナブネイ編、嬰ハ長調からハ短調へ)
モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.475
モーツァルト:4つの前奏曲 K.284aより
第1番、第2番(ハ長調から変ホ長調へ)
レオポルト・コジェルフ(1747-1818):
3つの前奏曲あるいはカプリース Op.45より 第1番 変ホ長調
モーツァルト:モーツァルト:4つの前奏曲 K.284aより
第3番、第4番(変ホ長調からハ長調へ)
モーツァルト:幻想曲 ハ短調 K.396
(マクシミリアン・シュタードラー補完版)

【演奏】
メリザンド・マクナブネイ(フォルテピアノ)

【使用楽器】
18世紀末アントン・ワルター作に基づいて、
2019年にロドニー・レジェが製作

【ピッチ】
A=430Hz、不等分平均律
【録音】
2021年10月25-27日、ケベック、聖アウグスティン教会
【商品情報】
レーベル:ATMA CLASSIQUE
品番:ACD2-2812
形態:CD
収録時間:73:00

(以上、キングインターナショナルより)

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キングインターナショナル
https://www.kinginternational.co.jp/genre/acd2-2812/